就職・転職先として配送業務を検討されている方の中で、「配送業務の実態を知りたい」、「興味があるけどいざ就職・転職するとなると不安…」といった方に向け、配送業務の現実や筆者自身の経験談をお伝えします。配送業務のメリットやデメリットもお伝えしますので、こちらの記事を仕事選択の参考にしていただけると幸いです。
配送の主な業務は?
配送業務の主な仕事内容としては会社やコンビニ、スーパー、個人宅などに荷物をお届けするというものであり、比較的近距離の配送業務であれば普通免許から中型免許、荷物の量が多くなったり距離が長距離となると中型免許から大型免許などが必要になります。
個人宅へ比較的小さな荷物をお届けする宅配、配送ルートが事前に決められており既存のお客様へ荷物をお届けするルート配送、それ以外の比較的近距離の配送業務は基本的に8時〜17時と一般的な会社員と同じ時間に勤務することが多いです。
業務によっては深夜勤務になったり、始業時間が6時などの早朝になったり、残業が多く帰宅時間が遅くなったりとこの辺りはその企業によってまちまちです。
中型免許や大型免許を必要とする長距離配送は距離によって1週間家を明けることもあり運転時間が業務の大半を占め、車内での食事・睡眠といった生活になることが多いです。また、荷物の量が多かったり重量の大きい荷物の運搬とイメージしていただけると伝わりやすいかもしれません。
長距離配送では出発時間、業務の終了時間、運行の流れなどは企業によって全く異なるため事前の情報収集が非常に重要な職種となります。
配送業務の給与実態
配送業務の平均年収は約350万円ほどで1年目から比較的高い給料が得られるという特徴があります。しかしその反面、長期間仕事を続けてもそれほど年収は伸びず「業務量に見合わない」と感じる方が多いようです。
配送業務での収入を増やすためにはフォークリフトの免許や中型免許・大型免許の取得など、対応できる業務の幅を広げると良いでしょう。
ですが、普通免許でできる配送業務でもそれなりの給与を得ることができるため、全体的にみてそれなりの生活ができるのではないかといった印象があります。運転が好きな人や配送業務に興味のある方は検討の余地があるのではないでしょうか?
配送業務のメリット5選
対人関係のストレスが少ない
まずメリットの1つ目として挙げられるのは対人関係のストレスが少ない点です。
配送の仕事となると基本的には積み込み・運転・納品と1人作業となります。配送業務の中には2人で配送を行うものもありますが、多くの配送業務は1人で業務を進めます。
そのため人との関わりが生まれる場面は納品時のお客様とのやり取りのみという場合がほとんどです。周囲の人との関わりが苦手で普段から人の視線が気になるといった方にとっては1人の時間が多く、配送業務は精神的に楽な業務と言えるでしょう。
また、人と協力しながら業務を進めたり、チームワークが求められる作業が苦手な方にとっても自分のペースで仕事の進捗を調整できたり、「今日は手を抜こう」といった感じで、その日の自分の気分によって仕事に対する姿勢を変えることができます。配送業務では個人プレーが許される場面が多いように感じます。
他人の目が多い場や周囲との協力が求められる場面ではなかなかこのような働き方は実現できません。
配送業務ならではの働き方といったところでしょうか。
運転中は比較的自由
配送業務の主な時間は運転と荷物の積み下ろしに費やされます。中でも運転の時間は長時間になるのですが、この運転時間は意外と充実させることができます。
運転中にYoutubeなどを再生させてラジオ代わりに聞き流しながら運転したり(もちろん運転中はスマホ画面を注視したりスマホを手に持つなどの動作をとってはいけません!)、街中を走行中に自分が気になるお店などを見つけて休日にそのお店に行ってみたり、気分転換にいつもと違う配送ルートを通って納品に向かってみたり。
また、基本的に配送車は禁煙になっていますが中にはタバコを吸いながら運転している社員もいます(笑)
もちろんこれは見つかると評価に響きますしルール違反です。
でもそれくらい運転中は自由だということですね。
配送業務の業務自体は単調なものになりますが、運転中は比較的自由な時間が多くその時間をどのように使うかは自分次第であり、やり方次第ではとても有意義な時間にすることができます。
配送業務にはこのような刺激や楽しみなどがあるため、1日の業務時間があっという間に終わってしまうと感じる方もが多いのも事実です。特に今まで内勤業務などに取り組んでいた方が配送業務などの外回りの仕事をやってみると、ある種の身軽さと時間の経過の早さに驚いてしまうのではないでしょうか。
仕事を持ち越すことがない
配送業務の特徴として「その日の仕事はその日に終わる」というものがあります。
当然配送業務ではその日に荷物をお客様のもとへ届けなければなりませんので、仕事が終わらないということはあってはなりません。その日の業務はその日に必ず終わらせなければならないのです。
これだけを聞くと少し厳しいように感じるかもしれませんが、実際に仕事をしてみると大体の配送業務がその日中に終わる業務量であり、残業がある程度あったとしてもしっかりと仕事を終わらせることができます。
ですので、家に帰ってからも「仕事が終わらなかったー」などといつまでも仕事のことを考える必要はなく、気持ちの切り替えもしやすいという特徴があります。
ただし、中にはブラックな会社も存在していて、常に時間に追われるような業務量やノルマを与えたり、休憩も取れず身体や精神的に大きなプレッシャーがかかる会社も存在しますので、就職・転職する際はその辺りの会社情報を調べることをお勧めします。
私自身もそのようなブラック企業での配送経験があるため、このような会社での辛さがよくわかります。毎日時間に追われ、休憩も取れず、次の日の業務量の多さに夜も眠れず、休んでも身体の疲れが取れずに休日は1日寝て過ごすというような状態になります(笑)
このような状態になると仕事を続けていくことはまず無理ですし身体も壊してしまうため、今後配送業務を検討されている方は自分が気になっている会社の情報収集はしっかりと行っていきましょう。
単純作業のため頭を使わなくて良い
続いての配送業務のメリットは「複雑なことを考えなくても良い」という点です。
すでにお分かりいただけた通り、配送業務は積み込み・運転・納品といった形で特に複雑なことを考えたり、頭の使う作業をする必要がありません。お客様の荷物を間違いなく積み込み、配送先を間違えずにお届けするといった感じです。
頭の中で様々なことをゴチャゴチャと考えなくても良いので、シンプルに業務に取り組むことができます。
毎日取り組む仕事ですので、日々できる限り頭の中をクリーンに保ちたいですよね。
配送業務は体力を使う仕事でもあるため、もちろん身体的な疲れはありますが、頭の中はスッキリしているという方も多いです。下手な人間関係や業務の複雑さによるストレスを抱えるよりもよっぽど健全な疲れなのではないかと個人的には思います。
また、そのようなストレスが少ないためにドライバー同士は仲が良いことが多いです。
事務仕事等になると人間関係が難しく、同じ事務所内なのに仲が悪かったり陰口が多かったりします。嫌いな人であっても1日同じ空間の中で仕事をしなければならないため仕方のないことかもしれませんが…
しかし、ドライバーは出発前と帰社後にしか他の人との関わりがないため、かなりドライな人間関係になります。そのため人間関係によるいざこざが生まれにくいです。
仕事が早く終わればそのあとは自由
配送業務は基本的にその日の業務量は決まっています。その日の配達件数が終わればその人の業務は終了となることが多いです。業務量に関しても日によって波もあるため、早く業務を終えることができる日もあります。
場合によっては余った時間でお店でのんびり食事をしたり、時間までひたすらYouTubeをみたり、資格取得の勉強をしたり、読書をしたり、昼寝をしたりと自由に過ごすことができます。
この時間を作るために配送業務を全力で終わらせて時間を作る人も少なくありません。
私自身も配送業務の仕事をしている時は可能な限り業務を効率的に終わらせ、後半に自由な時間を取れるように日々頑張っていました(笑)
会社に戻ってしまうと倉庫業務を頼まれたり、事務所で時間を使わなかったりしなければならないため、周りの社員も基本的に車内で時間を過ごしていました。しかし、仕事中でありながらも自分のことに時間を使うことができるというのは魅力的に感じるポイントの一つではないでしょうか?
配送業務のデメリット5選
腰痛になる可能性が高い
これまで紹介してきたように配送業務の時間のほとんどは運転に費やされます。つまり長時間座っている状態が続くということです。すると必然的に腰に負担がかかります。また、ただ単に座っている状態が続くのではなく運転による車の振動が常に腰に伝わってくるため、路面状態の悪い道を走行していると腰への負担が増し、腰痛持ちになる可能性が高まります。
そして、運転の後は荷物の納品をしなくてはならないため荷物の持ち運びなど力仕事が待っています。ここでも荷物の持ち運びの際に腰を痛める方が非常に多いです。配送している荷物が小さく軽いものであればそれほど心配はありませんが、重量物を扱う方は注意が必要です。
また、荷物の持ち運びから納品まで終わった後に再びトラックに乗り込みますが、ここで勢いよく座席に腰掛けると腰に大きなダメージがありますので要注意です。
私はここで腰を痛め、無事腰痛持ちとなりました(笑)
トラックの座席に腰掛ける際はゆっくりと負担をかけないように注意してください。
高齢になるほど体力的にきつくなる
配送業務の運転中は特に体力を使うことはありませんが、荷物の積み下ろしが多かったりその荷物の重量によって身体への負担が大きくなります。納品先によってもエレベーターなどがなく、建物の最上階まで荷物を抱えて運ばなければならないといった状況も日常茶飯事です。
若い頃は身体の無理もきくので勢いでなんとかなりますが、高齢になる程業務の負担が大きく感じることとなります。また、ある程度の年齢になるとついつい若い頃の感覚で力仕事をやってしまいがちですが、ふとした時に足腰・腕・背中など様々な箇所を痛めやすくなります(笑)
このような点からも高齢になってからも身体に大きな負担をかけるような配送業務は続けることが難しいかもしれません。
仕事内容によっては時間に追われる
配送件数が多い、納品完了までに時間がかかる、時間指定が多いなどの要素が多い配送業務では時間に追われがちです。どの要素も漏れがあるとクレームや自分の評価に直結するため、なんとか解決していかなくてはならない問題です。
これらの要素は個人の努力である程度までは解決することができますが、どこまで対応できるかは個人の能力によります。そのため、もともと業務スピードがそれほど早くない人や体力仕事が得意でないという人は時間に追われることが多くなるかもしれません。
時間に追われ続けていると気持ちが休まらず常に業務の心配をしなくてはなりませんし、時間を稼ごうと荷物の積み下ろしを急いだり、トラックを降りた後の移動中も歩くのではなく納品場所まで走って移動したり体力的にも辛くなります。
私自身は配送件数が多く尚且つの納品完了までに時間がかかる配送先を同時に持っていた経験もあるのでこの辺りの辛さがよくわかります。毎日時間に追われ業務中に精神的にも体力的にもかなりの負担を感じていました。
よく夜中の睡眠中に翌日の業務量の重さにうなされ、目を覚まして寝不足になることもありましたね(笑)
このような状況にならないように配送業務を選択する際は求人情報から配送件数が時間の割に多すぎないか、時間指定などの縛りは多くないかなどよく調べる必要があります。求人情報だけで詳しく業務内容が分からなければ職場見学を依頼して直接会社の中を見せてもらい、そのついでにその場で業務に関する質問をさせてもらうと良いでしょう。
職場見学はその会社の雰囲気やどんな人が働いているのか、会社の設備や自分と会社との相性など様々な情報を得ることあできるため非常におすすめです。個人的には求人募集中の会社への職場見学の依頼は歓迎してもらえることが多い印象があります。
どうしても職場見学できない場合はその会社の口コミなどをネットで検索してみると良いでしょう。
以下3つの口コミサイトは社員のリアルの口コミが閲覧できたり、給与に関する情報も得ることができるため就職・転職にお役立ていただけると思います。
私自身もこちらの3つの口コミサイトは会社情報を得る際に活用させていただいてます。一部会員登録が必要なところもありますが利用する価値はあると思います。
常に事故に遭う可能性を抱えている
配送業務で大半の時間を費やすのが「運転」です。運転にそれだけの時間を費やすということは、それだけ交通事故と隣り合わせの毎日だということです。朝の通勤や帰りの際の運転も含めると事故のリスクはかなり高くなりそうですよね。
配送業務では運転前のアルコール検査や免許証の確認、業務によっては業務中に一定時間の休憩を強制するなど社員が安全に業務を遂行できるような対策をとっていることが多いです。しかし、事故は個人の努力では完全に防ぐことはできないため、安全運転を心がけていたとしてもある日突然事故を起こしてしまうということがあります。
ちなみに事故を起こしてしまうと、事故状況を詳しく説明するための報告書・反省文の作成や上司から安全運転研修会への参加を伝えられたり、賞与の支給額が減ったりと良いことがありません。いくら自分の責任がなかったとしても何かしらの報告書作成が必須となります。
配送業務では日々気を抜かず、自宅に戻るまで安全運転を徹底するという意識が非常に大切になりますね。
休憩時間を取ることができないこともある
配送業務は基本的に外での仕事時間が長いため、社内の人間に動きが伝わりづらいという特徴があります。特に午前・午後で業務が分かれておらず、朝会社を出発して夕方に会社に戻ってくる配送業務などでは全くその人の動きが分かりません。そのため「休憩できる時に自分で休憩とってね」という感じになり、業務が忙しく時間に追われている日などは結局1日休憩を取れずに業務を進めることになります。
また、その休憩を取れなかった分を残業として申請することができる会社であれば良いのですが、雰囲気的に残業申請しづらい会社であったり、周りの先輩社員がサービス残業として受け入れてしまっている会社では申請することが難しいでしょう。
午前・午後で配送業務が分かれている会社では朝積み込みをして午前の配達を行い、お昼前に帰社して午後の配達分を積み込みして休憩。1時頃からまた配送に出発といった形で休憩時間は比較的取りやすい印象があります。
いずれにしても配送業務では業務内容やその日の業務量、現場の人数によっては休憩時間が取れないといった事態になるということも認識しておきましょう。そういった事態を避けるためにはやはり事前に会社情報を集めておく方が良いかもしれませんね。
配送業務を検討中の方へ
以上、配送業務の内容やメリット・デメリットを私自身の経験を踏まえてお伝えしてきました。
配送業務は外に出てしまえば基本1人作業であり精神的に楽、運転中は比較的自由であり、早く業務が終われば自分のことに時間を使えるなどメリットもありますが、その反面事故のリスク、体力的・時間的な負担などデメリットについてもいろいろと知っていただけたのではないかと思います。
また、これから配送のお仕事を検討中の方や配送のお仕事から別なお仕事への転職を検討中の方にも以下の記事が参考になるかと思いますので是非合わせてご覧ください。
これらを比較検討していただいた上で今後の職業選択に役立てていただけたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!