これまでスポーツや運動の経験がある方にとってスポーツインストラクターのお仕事は魅力的に感じるのではないでしょうか?自分の経験を活かしたり好きなことを仕事にできるのは非常に素晴らしいことだと思います。
私自身も以前スポーツインストラクターとして仕事をしていた経験がありますので、その経験からスポーツインストラクターの大変な点や辛い点、向いている人の特徴などもご紹介してきます。
なお、今回の記事では野球やサッカー、水泳など特定の競技の技術的指導を行うスポーツインストラクターの仕事についてお伝えしていくつもりですが、フィットネスクラブやスポーツジムのインストラクターを目指す方にとっても参考にしていただける内容となっております。
スポーツインストラクターの仕事内容
スポーツインストラクターの主な仕事内容はスポーツの技術指導であり、具体的には野球でのバッティング指導を行う、水泳でのクロールのやり方を指導する、サッカーでのドリブルのやり方を指導するなどということが挙げられます。
その他様々な競技がありますが、それぞれの競技に対する技術指導を行うのがスポーツインストラクターとしての仕事内容です。指導場所としては市町村が運営する体育館からスポーツ施設、屋外グラウンドなど様々です。
小学生や中学生などに対してスポーツ指導を行う場合は技術指導だけではなく、生徒達が人間としてより良い方向に向かって成長していけるように、メンタル面でのサポートをすることもスポーツインストラクターの重要な仕事になったりします。
スポーツインストラクターに向いている人の特徴
指導しているスポーツの経験者であること
まず1つ目のスポーツインストラクターに向いている人の特徴が「指導している競技の経験者である」ということです。
理由はこれまで自分が取り組んできたスポーツ競技の指導にあたることができれば、自分のこれまでの経験を活かした練習指導、メンタル面でのサポートがしっかりとできるからです。さらに自分がより高いレベルを目指していた経験があればあるほど内容の濃い指導を行うことができます。
指導しているスポーツ競技が未経験であったり、経験が浅い場合は経験者に比べてどうしても指導内容が薄くなりがちです。そういった場合はプライベートの時間を使って自分もその競技に挑戦してみたり、参考書やネットでその競技に関する情報を集め自分の知識と経験を高める努力が必要になってきます。
生徒に対して明確な目標を与えることができる人
スポーツ指導において目標を明確に示し、現在取り組んでいる練習がその目標達成のためにどう活きてくるのか説明を行い、生徒自身が納得した上で練習に取り組むことは、練習の質を高める上で非常に重要な要素となります。
スポーツインストラクターとして正しい目標設定・努力を手助けし、目標を達成できるように導く点は指導者としての力が試される場面です。こういった部分が得意であったり、やりがいを感じる方はスポーツインストラクターに向いている人と言えるでしょう。
また、正しい目標設定を行い結果を出させることが上手なスポーツインストラクターは生徒からの信頼が厚く、スポーツインストラクターとして非常に人気が出るため、結果として独立して活躍される方も多くいます。
小さな成長・成功でもしっかり褒めることができる人
スポーツインストラクターとして、生徒の小さな成長や成功を見逃さずしっかりと褒めてあげることができる方もスポーツインストラクターに向いていると言えるでしょう。
生徒自身は指導者から指導されていることを実践していても具体的にどの程度自分が成長できているのか分からないことが多々あります。そういった中で、どの部分が上手くいって、どの程度できているのかしっかりと言葉にして褒めてあげることで自分自身の成長をイメージしやすくなります。
また、成長や成功を褒めてあげることによってモチベーションの維持にもつながりますし、スポーツ教室のような形であれば生徒の退会率などを大きく下げることもできるため、結果的に指導者自身の評価にもつながっていきます。
私自身の経験からも結果を出して人気のあるスポーツインストラクターの方は、相手の良い変化に気づき、その部分をしっかりと褒めることが非常に上手かったように感じます。自分が指導してもらう立場であれば当然そういった人を選びますよね(笑)
スポーツインストラクターが辛い・大変と言われる理由
生徒や保護者との人間関係が辛い
続いてはスポーツインストラクターの辛い部分や大変な部分をお伝えしていきますが、まず1つ目としては「生徒・保護者との関係」が挙げられるでしょう。
スポーツインストラクターである以上、指導している分野で生徒にしっかりと結果を残してもらえなければなりません。生徒からすると言われたことをしっかりと実践しているつもりなのに現状に変化がなかったり、成長を感じることができなければスポーツインストラクターに対して不信感を抱いてしまいます。
そのような状態が続いてしまうと指導している対象が小中学生などの場合は主に保護者から、生徒が大人の場合は生徒自身からクレームや苦情を受けてしまう場合があります。中にはモンスタークレーマーと呼ばれるほど厳しい態度に出る方もいますので、ここは自身のスポーツインストラクターとしての力が試される場面でしょう。
また、そのようなことがクレーム等が無くても指導を行う上でスポーツインストラクターと生徒との関係は非常に重要ですので、日頃の信頼関係構築は意識しなければなりません。ここでの信頼関係が生徒の成長にも大きく影響してきます。
年収が低く将来に不安がある
スポーツインストラクターの平均年収は現在約350万円程度で日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。そういった収入面の事情からスポーツインストラクターが辛いと感じている方も多いのが現状です。
中には長時間労働にも関わらず残業手当などが一切払われないため、基本給でのみ生活している方や、仕事内容の割に給料が安いと感じている方も多いようです。(こういった現実はスポーツインストラクターの業界に限らずですが…)
客観的に見ても業界的に平均年収が低い傾向というのは将来を考えた際に不安を感じる方も多いでしょう。ですが、収入は「自分の生活に対してどの程度の収入が必要か」という視点が非常に重要です。自分の年収が平均年収年と比較して低いからといって必要以上に不安を感じる必要はありません。
体力的に継続することが難しくなる
そして、多くの方がスポーツインストラクターとして辛さや不安を感じる部分が体力的な問題でしょう。スポーツインストラクターという職業柄、常に身体に負担をかける環境に身を置くこととなります。
年齢を重ねることによるに体力の低下は避けることができません。これまで問題なくできていた業務に関しても徐々に負担を大きく感じるようになり、仕事の継続自体が困難になる可能性もあります。
また、スポーツインストラクターとして生徒に対して「見本を見せること」というのは非常に重要な要素だったりします。見本を見ることによって生徒自身が今取り組んでいることに対しての具体的なイメージができたり、指導を受けているだけでは分からない客観的な情報を得ることができます。
スポーツインストラクターにとっては年齢を重ねることで体力が低下し、上手く見本を見せることができないといった状況になると、それまでの指導の質が徐々に落ちていってしまうという不安要素も出てきます。
仕事の辛さ・大変さを解決するためには
経験のある競技のスポーツインストラクターを選択する
ここからは今ご紹介してきたスポーツインストラクターとしての辛さ・大変さを解決する具体的な方法を経験者目線からお伝えしていきます。まずは「生徒や保護者との人間関係が辛い」という部分に関してですが、自分の経験のある競技のスポーツインストラクターとしての仕事を選択するという解決策が挙げられます。
自分の経験のある競技のスポーツインストラクターを選択することによって、自分の今までの経験から質の高い指導が可能となりますし、言葉ではなかなか伝わりづらい感覚的な部分の指導も上手く行うことができます。
自分が選手だった頃にどういったトレーニングを行ってきたのか、どういった部分でつまずいてしまったのか、どのような取り組みは無駄だったのかなど、あなたの経験が全て生徒のプラスに働きます。
そうすることによってただ指導を行うよりも、自然と生徒の成長や成功体験もどんどん増えていくことになりますし、スポーツインストラクターとしてのやりがいも感じることができるでしょう。
生徒の目的は「自分自身の成長」を目的とする方が大半だと思いますので、この部分を解決できれば生徒や保護者との関係も良好になる可能性が高いです。結果を出してもらえるスポーツインストラクターになることができれば周囲からの人気も出てくるでしょう。
また、現在取り組んでいるスポーツインストラクターとしての指導分野が未経験であったり経験が浅い場合は、実際に自分もその競技に挑戦してみたり、参考書やネットでの情報収集を行い指導内容を高める努力が必要となります。
年収以外の部分に目を向けてみる
続いて「年収が低く将来に不安がある」という点に関してですが、次の2点について考える必要があるのではないかと考えております。
- 自分の生活にはどの程度の収入が必要なのか
- 年収とやりがいのバランスはどうなのか
まずは今の自分の生活にはどの程度収入が必要で、ざっくりとでも良いので将来的にはどのように生活していきたいかという視点がなければそもそも「年収が低いから不安」という意見そのものが成り立たない可能性があります。
年収の高いサラリーマンであっても、浪費癖があり全く貯金のできずに借金を抱えてしまう人もいますし、収入が低い人であっても収入の範囲内で生活し貯金までできる人もいます。
必要な収入に関してはケースバイケースの要素が非常に強いため「平均年収」などで判断するのではなく、自分の生活にはどの程度の収入が必要なのかをある程度明確にし、今の仕事を継続するかどうかを自分自身の目線で判断する必要がありますね。
次に年収とやりがいのバランスについても考える必要があります。
年収の高い仕事に就いたものの、やりがいを感じられず責任の重い業務ばかり任されてストレスを抱えてしまったり、逆にやりがいはあるものの収入が少なく生活するのがギリギリだったり。こういった形ではいずれにしても仕事を続けることは難しくなるでしょう。
仕事にある程度の不満はあるものの、収入とやりがいのバランスが上手く取れていると判断できるのであれば、その仕事を継続していくというのは十分にありなのではないかと個人的には思っています。
年収の適正に関しては簡単に答えの出る部分ではありませんので、様々な面を総合的に考えて自分なりに判断する必要があります。ただし、「平均年収」などに影響されて自分の仕事に対して不安を感じてしまうのは避けましょう。
自分のこれからの立場によって業務内容も変化する
最後に「体力的に継続することが難しくなる」という部分に関してですが、スポーツインストラクターとしてのお仕事は生徒やお客様へのトレーニング指導だけではありません。
例えば、店長やマネージャー職へ出世することによって店舗の運営全般に関わる業務を任されたり、目標売上獲得に関わる業務、部下を育成するための人材教育など業務の内容も幅広くなっていきます。
そのように業務内容が変化することによって体力的な負担というよりも、売り上げを作るためにはどうすれば良いのかといった数字に追われる辛さや、スタッフ管理の大変さという今までとは違った辛さ・大変さが出てくるでしょう。
現場での指導のみを考えている方にとっては体力的な不安から仕事の継続自体が難しくなってくることも考えられますが、仕事を続ける中で自分の立場を変えるきっかけやタイミングがあれば、店舗運営全体に携わる形で活躍することも十分に可能でしょう。
日頃から視野を広く持ち、今後現場での指導を離れる場合は、自分の力をどのように活かすことができるか考えながら業務に取り組むことも重要になってきます。そして挑戦できそうなポジションがあればそのポジションに対する情報収集も行っていきましょう。
今後転職を検討中の方へ
ここまでスポーツインストラクターの辛さや大変さ、向いている人の特徴、辛さや大変さを解決する方法などをご紹介してきました。
今後スポーツインストラクターのお仕事を検討している方や、スポーツインストラクターから別な仕事へ転職を検討している方にご参考になれば幸いです。
また、転職に関して以下の記事も参考になるかと思いますので是非合わせてご覧ください。
私自身スポーツインストラクターとしての仕事に携わっていた頃は、自分の経験をお客様の成長に役立てることができ、日々感謝の言葉をいただくことができたため、非常にやりがいのある楽しい仕事でした。
今後スポーツインストラクターとしてお仕事をされる方には、ぜひそういった環境でお仕事に取り組んでいただきたいと思いますし、どうしてもスポーツインストラクターとして仕事を続けることができない方にとっても、ご自身に合った良いお仕事を見つけていただきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!