皆さんは飲食店のお仕事についてどのような印象をお持ちでしょうか?
私は以前、居酒屋で仕事をしていた経験がありますが、その時の経験をもとに飲食店の仕事内容やきつい部分、主な退職理由などをご紹介していきます。
今後飲食店での仕事を検討している方や職業選択の参考にしていただけたら幸いです。
飲食店の仕事内容
飲食店ではホール、キッチン、居酒屋であればそれに加えてドリンカーという役割が存在し、それぞれの役割によって業務内容も変わってきます。
こちらではまず役割ごとの仕事内容についてご紹介していきます。
ホールの主な仕事内容
- 席への案内
- 注文伺い
- 配膳
- レジ対応
- 片付け
- 予約や問い合わせ等の電話対応
こちらがホールの主な仕事内容となっています。
具体的に一つ一つ解説していきます。
席への案内
ホールの仕事の一つとしてまずはお客さまが来店した際の席への案内があげられます。
店内の状況やお客さまの人数に合わせて適切な席へスムーズに案内することが求められます。
店内が空いているときなどは、「お好きな席へどうぞ」などと案内することもできますが、混雑する時間帯などは店内の状況をしっかり把握していなければ、席への案内もスムーズに行うことができません。
「現在どの席が空いているのか」「何人までのお客さまであれば対応可能なのか」「お待ちいただく必要はあるか」などお客さまが来店した際に瞬時に判断する必要があります。
ホールは注文伺い、配膳、レジ対応、片づけなどその他にも複数の業務を同時並行で進めていかなければなりませんが、そのような状況でも店内の空席状況を把握しておかなければなりません。
注文伺い
多くの方にとってホールの馴染みのある業務といえばこの「注文伺い」ではないでしょうか。
お客さまからの注文をキッチンにお伝えする業務になりますが、店舗によって手書きで行う場合もあれば、ハンディなどの端末で行う場合もあります。
ハンディで注文伺いを行う場合はハンディの操作に慣れていなければ、お客さまの目の前で慌ててしまうため、事前に使い方には慣れておく必要があります。
私自身もハンディ操作に慣れるまで苦労した記憶があります(笑)
手書きで注文を受ける場合であっても、初めて注文を受ける時は慌てて文字が殴り書きになってしまい、後で読み返した際に字が読めないということもあるためその点にも注意が必要です。
注文伺いは落ち着いて行い、しっかりと間違いなくオーダーを伝えることを意識していきましょう。
配膳
「配膳」では調理された料理をお客さまの元へ運びます。
注文の多い場合は複数の料理を一度で運ぶ場合もあるため、料理を落としたり崩したりしないように心がける必要があります。店内では人の往来が多い場合もあるため、周囲の人の動きに注意して配膳業務を行います。
また、座席数が多い場合は料理をお届けする席を間違えてしまう場合もあります。注文内容と配膳先の座席をしっかりと把握しておく必要があります。
居酒屋などの場合はお客さまがお酒で酔っていて、注文をいただいても配膳の際に「頼んでないよー」なんて言われることもありますね(笑)
レジ対応
続いては「レジ対応」になります。
レジ対応でもその場その場に応じた対応が求められますし、売上に関わる業務のため忙しい状況であっても一つ一つ丁寧に対応していく必要があります。
例えば….
- 伝票のチェック
- 現金支払い
- カード決済
- クーポン割引
- お釣りのお渡し
- 間違ったレジ操作の訂正
アルバイトなどでレジでの現金やカード決済の対応を行った経験のある方であれば、レジ対応を覚えることも比較的短期間でできるかもしれませんが、そういった経験がない方は慣れるまで操作に戸惑ってしまうことでしょう。
普段私たちが買い物などの際にスムーズにレジで精算をしてもらっていますが、いざ自分がレジ対応を行う立場になると臨機応変に対応することができず、お客さまを前に慌ててしまうことがあります。
私自身はレジ対応が非常に苦手でした(笑)
お金に関わる重要な業務であるため、人によっては慣れるまで先輩にしっかりと時間をかけて指導していただく必要があるかもしれません。レジ操作は慌てずに一つ一つ確認しながら行うことがポイントです。
片付け
「片付け」ではお客さまが帰った後に素早く食器を下げ、次のお客さまのためにセッティングを行い店内の回転をスムーズにすることが重要です。
セッティングの例としては….
- 床に食べかすが落ちていないか
- 忘れ物はないか
- メニュー表はもとの位置にセットされているか
- テーブルの上の汚れはないか
- 座席は汚れていないか
- 調味料の残量は十分か
- 消毒はされているか
食器やゴミの後片付け以外にもこれらの点を素早く確認し、次のお客さまをスムーズに案内していく必要があります。
特に忙しい時は片付けまで手が回らず、いつまでもお客さまを店の入り口に待たせてしまうといったこともあるため、いかに素早く席を空け回転を良くするかが重要です。
予約や問い合わせ等の電話対応
予約や問い合わせ等の電話対応もホールが行う場合があります。
予約の場合は予約当日の人数や時間を伺い、その日に入っている他の予約や座席数などを考慮し適切に予約を受ける必要があります。
予約の取り方によって当日のシフト人数や店舗の営業に大きな影響を与えるため、当日の状況を把握した上で対応していきましょう。
問い合わせに関しても電話対応がその店の印象に直結するため、明るく丁寧に、そして正確に電話対応することが求められます。
以上がホールの主な仕事内容となりますが、ホールはお客様と接する機会が非常に多いため基本的なマナーや丁寧な言葉遣いが求められます。ホールのお客さまへの対応がそのお店の印象に直結するため、店の顔としての自覚を持って業務に取り組む姿勢が重要になってきます。また、飲食店でのトラブルなどは基本的にホールが一番はじめに対応することが多いため、臨機応変に対応できる人が求められるでしょう。
キッチンの主な仕事内容
- 料理の調理・盛り付け
- 皿・調理器具洗い
- 仕込み
- 清掃
続いてはキッチンの仕事内容になります。
それぞれの仕事内容を見ていきましょう。
料理の調理・盛り付け
キッチンの主な仕事は「料理の調理・盛り付け」になります。
基本的に飲食店のキッチンには業務の進め方を統一できるようにマニュアルが用意されており、それに沿って業務を進めることになります。
ですが、店内が忙しくなってくるとオーダーがひっきりなしに流れ始めるため、いちいちマニュアルを確認しながら業務を進めていると料理をお出しするのが遅くなり、オーダーがどんどん溜まっていき回すことができなくなります。
そのため、キッチンの仕事ではある程度の期間でマニュアルを見ずとも調理ができ、なおかつ素早く正確にオーダーを捌いていけるようになる必要があります。
調理に手間がかかり過ぎて、どんどんオーダーが溜まっていくのはプレッシャーでしかないですからね(笑)
飲食店で働き始めた際に未経験の人が辛いと感じるのはオーダーを処理していくことだと思います。
最初はオーダーについていくことができず、どんどんオーダーが溜まっていき焦ってしまいます。
私も未経験の頃はこの点が非常に辛く感じ、土日などのお客さんが多い時はシフトに入りたくなかったです(笑)
皿・調理器具洗い
また、調理以外にもキッチンでは空いた時間を使って食器や調理器具を洗わなくてはなりません。
調理にばかり集中していては盛り付けするための食器を使い切ってしまったり、調理器具が使いっぱなしになってしまったりと、次の業務を進めることができなくなります。
調理を行いつつ洗い物の状況を確認し、素早く正確にオーダーを捌いたら洗い物に取り掛かるといった感じで、常に周囲の状況を考えながら動いていくことがキッチンとして仕事を回していく上で重要なポイントとなります。
仕込み
「仕込み」は次の日に料理に使う材料をあらかじめ切っておいたり、冷凍食品を解凍しておいたり、調味料を調合しておいたりと店舗の営業に備えて準備をしておく業務です。
仕込みを行っておくことによって忙しい時などに細かい業務に追われる必要がなくなりますし、キッチンの調理業務に集中することが出来ます。
清掃
清掃は一日の営業が終わった後に行う場合や営業終了近くになってお客さんが少なくなり、時間に余裕ができ次第行う場合などその店舗によってやり方は異なります。
飲食店は食品を扱っていますので、この清掃業務は非常に重要な業務です。
ゴミや虫が大量に発生しているお店で食事をしたいと思うお客さんなんていませんからね(笑)
また、この清掃業務を行う際に調理器具を所定の位置へ戻しておいたり、整理整頓をしっかりと行っておくことで業務の際に素早く作業を進めることができますし、探し物をする無駄な時間が減ります。
ここまでご紹介したキッチンの業務ですが、これらを全て一人で行うというわけではありません。ほんとんどの場合は分担が決めてあり、調理する人、食器を洗う人といった感じでそれぞれの仕事をこなしてく形になります。
しかし、場合によってはある程度の範囲まではカバーしなければならなかったり、全ての業務をこなすことを求められる場合もあるかもしれませんので、その辺りは仕事を開始する前に確認しておく必要があるかもしれません。
ドリンカーの主な仕事内容
続いてはドリンカーの仕事内容となります。
順番に見ていきましょう。
- ドリンク作り
- グラス洗い
- 原料の補充
- 注文伺い
ドリンカーとは主に居酒屋などでお酒をやソフトドリンクを作ってお客さまに出す仕事と考えていただければOKです。
ドリンク作り
ドリンク作りはドリンカーの主な仕事内容になりますが、お客さまの注文に合わせて飲み物を作ります。生ビール、コーラ、芋焼酎、梅酒のロック、カシオレ、ハイボールなどなど。
キッチンと同様にドリンカーにもドリンク作りのマニュアルが用意されており、炭酸水の配分やお酒の量、どのグラスでどの飲み物を作るのかなど飲み物によって異なります。
ドリンカーの仕事に関してもマニュアルをいちいち確認していたらオーダーを捌ききれないため、作り方を早めに覚えることが重要です。
メニューが多ければ多いほど作り方を覚えることが大変ではありますが、繰り返しドリンクを作っていくことで徐々に覚えることができます。
私自身もドリンカーをやっていた頃はメニューを覚えなければオーダーについていくことができなかったため、必死にドリンクの作り方を覚えました。
覚えてしまえば体が勝手に動くようになるので、ドリンクに限らずホールやキッチンに関しても一通り業務を頭で覚えたら、あとは繰り返し業務に取り組み、体に感覚を染み込ませていくことが重要かもしれません。
グラス洗い
ドリンカーもキッチンと同様にドリンクを作りつつグラスやコップを洗わなければなりません。
忙しい日などはドリンクを作ることで一杯一杯になってしまいがちですが、グラスやコップを切らしてしまうと次から次へと来るオーダーに対応できません。
キッチンと同様スピード勝負になるので、いかに効率良くオーダーを捌いて食器洗いの空き時間を作れるかが重要になります。
原料の補充
ドリンク作りの際にもさまざまな原料を使います。
ソフトドリンクを作る際にはシロップを使ったり、生グレープフルーツサワーを作る際にはグレープフルーツを使ったり、生ビールを作る際には樽からビールを引いてきたりと。
ドリンクを作っているとこれらの原料がどんどん減っていきます。
ドリンク作りをしつつ、時間を見つけてこういった原料の補充を行っていかなければなりません。
特にビールの樽交換は力も必要でしたし、時間もかかる作業だったので個人的には大嫌いでしたね(笑)
注文伺い
ドリンカーであっても開店したばかりの早い時間であったり、閉店間際のお客さんが少ない時間帯になると注文伺いを頼まれる場合があります。
また、忙しい時間帯でホールが対応しきれない場合もドリンカーが注文伺いで動く場合があります。
ここまで紹介してきたドリンカーの仕事ですが、ドリンカーはお店によっては存在せず、ホールやキッチンがその役割を担う場合があります。
居酒屋には基本的にドリンカーというポジションがありますが、その他の飲食店では役割分担が変わってきますので事前に確認しておくと良いでしょう。
その他の仕事内容
飲食店のその他の仕事内容に関しては、売上の追求、スタッフへの指示、在庫管理・発注業務、シフト管理などその人の立場によって任せられる業務の幅も広がってきます。
現場での業務から管理業務まで幅広く取り組む必要があるため責任も大きくなりますが、その分自分自身の力を伸ばすことができるという点は飲食店でのお仕事の魅力ではないかと思います。
飲食店の仕事がきついと言われる理由と退職理由
それでは飲食店での仕事内容を踏まえた上で飲食店がきついと言われる代表的な理由をご紹介していきます。
- ピーク時が忙しすぎる
- 覚えることが非常に多い
- 立ち仕事や深夜勤務が辛い
- 仕事内容の割に給料が低い
- 休日数が少ない
それでは順番に見ていきましょう。
①ピーク時が忙しすぎる
まず一つ目の理由として「ピーク時が忙しすぎる」という点が挙げられます。
私自身の経験からも飲食店の昼時や夕方以降の時間帯は非常に忙しくなります。
ホール・キッチンがそれぞれ自分の仕事で一杯一杯になり、業務についていくのがやっとといった感じです。仕事を始めたばかりの頃はこの忙しさについていけるか非常に不安になり、プレッシャーも感じることでしょう。
真面目な人ほど「自分の任された仕事をしっかりとこなさなければ」という気持ちになり、上手く業務を進められずに心が折れてしまう人が多い印象です。
また、飲食店は土日祝が忙しいというだけではなく、平日であっても非常に忙しい日が当たり前のようにあります。こういった点からも私自身が飲食店で働いていた頃も気持ちの休まる時がなかったなぁといった印象です。
日々業務に追われる点や飲食店は業界的に人手不足のため、今後もこのような状況が続いていくだろうという予測からさらに人が離れていっているような感じです。
②覚えることが非常に多い
飲食店ではこれまでご紹介してきた通り、ホールやキッチンなど役割によって仕事内容が決まっているのが通常ですが、その店舗や人手不足の関係から幅広く業務を任せられる可能性もあります。
するとキッチンをしながら接客対応をしたり、ホールをしながらドリンク作りをしたりと複数の業務を同時進行しなければならない場面も多くなります。
任せられる業務の範囲が広がれば広がるほど、覚えなければならないことも増えてくるため人によっては限界を感じる方もいるでしょう。
また、仕事を覚えたあとは今後もその業務にも対応していかなければならないため、さらに忙しくなり体力的な負担も大きくなります。
年齢的なことを考慮すると長く続けることはできないと考える方も出てきてしまいます。
③立ち仕事や深夜勤務・長時間労働が辛い
飲食店での仕事は基本的に立ち仕事で業務中は常に動き回っています。
運動経験がありデスクワークよりも動き回る方が自分の性格に合っているという方にとっては問題ありませんが、体力を使う仕事が苦手という方には合わないでしょう。
動き回る以外にも原料の持ち運びや荷物の持ち上げなどの力仕事も所々で発生するため、そういった点にも注意が必要です。
そして飲食店は店舗によって深夜まで営業しているところもたくさんありますが、深夜まで営業した後に翌日の開店から業務ということもあり得るため、そのような状態が続くと精神的にも体力的にも大きな負担を感じてしまうでしょう。
飲食店では閉店後に片付けや事務処理、開店前に仕込み等の業務があるなど長時間労働になりがちなため、こういった状況に辛いと感じる方も少なくないようです。
④仕事内容の割に給料が低い
ここまでご紹介してきたように飲食店での仕事は精神的にも体力的にも非常に辛い部分があります。
仕事が大変であっても、そのぶん給料に反映される業界であればモチベーションの維持にもなりますが、飲食業界の平均年収は2021年の段階で約320万円となっており、全業界の中でも低い水準となっております。
こういった状況では将来のことを考えた際に、今後も飲食店で仕事を継続していくのは難しいと考える方も少なくないでしょう。
現在飲食店でお仕事に取り組んでいる方もこれから飲食店での仕事を検討中の方もこの平均年収の現実はしっかりと認識しておいた方がいいかもしれません。
⑤休日数が少ない
続いては飲食店の休日数に関してですが、平成30年の時点で飲食業界の年間休日数の平均は97日程度となっており非常に少ない水準となっております。
近年ではワークライフバランスが重視されるようになってきましたし、年齢が若い方の中にも高い給料よりも給料とプライベートのバランスを求める声が多く上がっています。
このような状況の中で休日数が少ないというのは職業選択の際の大きな障壁になりますし、離職の原因になってくるのは容易に想像できるでしょう。
飲食店ではできるだけ土日祝日などの忙しい期間に出勤してほしいため、平日休みになる傾向があります。周囲の人と休日を合わせたいという方も注意が必要です。
転職をお考の方へ
以上が飲食店の仕事内容ときついと言われる理由・主な退職理由になります。
ここまで飲食店での仕事の大変な部分をお伝えしてきましたが、個人的には飲食店での仕事は幅広いスキルを身につけることができ、自分自身を成長させるという点では経験する価値が十分ある仕事だと考えています。
私自身も飲食店での仕事経験が今でも役に立つ場面が多くあります。
しかし現在飲食店で仕事をしていて現状に不満を感じている方や将来に不安を感じている方、今後飲食店での仕事を検討しているが飲食店での仕事内容を知って自分には合わないなと感じた方は転職や他の仕事を検討する方が良いかもしれません。
これから飲食店でのお仕事を検討中の方や飲食店のお仕事から別なお仕事への転職を検討中の方にも以下の記事が参考になるかと思いますので是非合わせてご覧ください。
これから飲食店でのお仕事を検討中の方も、飲食店から他のお仕事への転職を検討中の方も是非ご自身にあった働き方を実現していただきたいと思います。
後悔のない職業選択ができるように今回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!