職場ではいろいろなタイプの人と一緒に働くことになります。特に難しいのが、感情の起伏が激しい同僚や上司との関わり方ではないでしょうか。急に怒り出したり、必要以上に反応したり、感情のままに発言したりする人がいると、チームの仕事の効率が下がるだけでなく、職場の空気が重くなり、あなた自身の心の健康にも悪影響を与えかねません。
今回の記事では、誰にでも実践できる感情的な人への上手な接し方をご紹介します。これらの方法を使うことで、職場での人間関係を良好にし、ストレスを減らしながら、気持ちよく仕事ができる環境を作ることができるでしょう。
なぜ人は職場で感情的になるのか

効果的な対応法を知る前に、なぜ人は職場で感情的になってしまうのか、その理由や感情的になる人の行動の特徴について解説していきます。
感情的になる一般的な理由
人が感情的になる背景には、多くの場合このような理由が隠れています。
- プレッシャーとストレス: 仕事の締め切りやノルマのプレッシャー
- 個人的な事情: 家庭の問題や体調不良
- 誤解や行き違い: 情報不足や伝え方の問題
- 認められたい気持ち: 自分の仕事や努力が評価されていないと感じる
- 過去の嫌な経験: 以前の職場での辛い体験が影響している
- その人の性格: もともと感情が表に出やすい性格
感情的な人によく見られる行動
感情的な人には、このような特徴が見られることが多いです。
- 大げさな反応: 小さなことに対して大きく反応する
- 気分の波が激しい: 機嫌の良し悪しが急に変わることがある
- 被害者意識: 「自分だけが不当に扱われている」と感じやすい
- 人のせいにする: 問題の原因を他の人や環境のせいにする
- 極端な考え方: 「完璧か失敗か」など中間がない考え方をする
こうした特徴を知っておくことで、その人が感情的な人かどうかや、今現在感情的になっているのかどうかという判断をしやすくなります。
職場での感情的な人への7つの実践テクニック

ここからは職場で感情的になる人への具体的な接し方について解説していきます。これらの方法を実践することによって、より感情的な上司との関係を良好なものにすることができるでしょう。
ぜひ取り組めるものから実践してみてください!
1. 上手に聴くことで信頼関係を築く
感情的な人は「わかってもらえていない」と感じていることが多いもの。真剣に耳を傾けるだけで、相手の興奮が落ち着くことがあります。
実践方法:
- 相手の話を最後まで遮らずに聞く
- 目を見て、うなずいたり「うんうん」と相づちを打つ
- 「つまり〜ということですね」と話を要約して返す
- 「どうして?」「どんなふうに?」など、相手が話しやすい質問をする
使える言葉の例: 「そのプロジェクトに不満があるんですね。もう少し詳しく教えてもらえますか?あなたの考えをしっかり理解したいんです。」
2. 相手の気持ちを言葉にして認める
気持ちを言葉にすると、感情が整理されて落ち着きやすくなります。これは科学的にも証明されている方法です。
実践方法:
- 相手の感情を言葉にして伝える
- 感情そのものを否定しない
- 共感する言葉を使う
使える言葉の例: 「締め切りが変更されて、イライラしているように見えます。そう感じるのも無理ないですね。」
3. 人ではなく問題に焦点を当てる
人を責めるのではなく問題そのものに目を向けると、相手は防衛的にならず、一緒に解決策を考えやすくなります。
実践方法:
- 「あなたが」ではなく「この状況」「この件」について話す
- 個人攻撃ではなく事実に基づいて話し合う
- 解決策を一緒に探る姿勢を見せる
使える言葉の例: 「この企画書の修正点について話し合いましょう」(「あなたの企画書が不十分」ということではなく)
4. 話し合いのタイミングを考える
感情が高ぶっているときは冷静な判断ができません。少し時間を置いて、落ち着いてから話し合うほうが良い結果につながるでしょう。
実践方法:
- 感情的になっているときの重要な決断は避ける
- 「少し時間を置きましょう」と提案する
- 話し合いに適した時間と場所を改めて設定する
使える言葉の例: 「この問題は大切なので、お互い少し冷静になってから、明日の午後にあらためて話し合いませんか?」
5. 自分を守る線引きをする
相手との健全な境界線があれば、相手の感情的な言動に振り回されず、自分の心を守ることができます。
実践方法:
- 受け入れられない行動ははっきりと伝える
- 「私は〜と感じます」という言い方で自分の気持ちを伝える
- 優しいけれどしっかりとした態度を保つ
使える言葉の例: 「大きな声で話されると、私は考えがまとまらなくなります。もう少し落ち着いた話し方をしていただけると助かります。」
6. 共通の目標を思い出してもらう
対立していても、同じ目標に向かっていることを思い出すと、再び協力しやすくなるでしょう。
実践方法:
- チームの共通の目標や会社の方針に話を戻す
- 「私たち」という言葉を意識して使う
- お互いにメリットのある解決策を探る姿勢を見せる
使える言葉の例: 「私たちはどちらもお客様に喜んでもらいたいという同じ目標がありますよね。その視点から、どんな解決策が考えられるでしょう?」
7. 相手の良いところを認めて活かす
人は自分の良いところを認められると、協力的になり、感情的になることが少なくなります。
実践方法:
- 相手の得意なことや貢献を具体的に褒める
- その得意分野を活かせる仕事を任せる
- 小さな成功体験を重ねられる機会を作る
使える言葉の例: 「あなたのプレゼンの上手さにはいつも感心しています。次のお客様との打ち合わせで、その力を発揮してもらえませんか?」
感情的な上司との付き合い方

感情的な上司への対応は、同僚への対応とは少し違います。こちらでは上下関係がある中での対処法を紹介します。
上司の好みを理解する
上司の性格に合わせて行動することによって、相手の感情をある程度コントロールすることも可能です。上司と良好な関係を築くためには相手の好みを理解するということも非常に重要です。
- 上司が好む連絡方法(メール、直接話す、簡潔な報告など)を把握する
- どんな時に感情的になりやすいかのパターンを見つける
- 報告のタイミングや頻度を調整する
先回りして情報を伝える
報連相は仕事の基本です。適切なタイミングで相手に情報を共有することは信頼関係構築のために重要な要素と言えるでしょう。
- 問題があれば早めに伝える
- 解決策も一緒に用意してから報告する
- 定期的に進捗を報告して安心してもらう
データや事実を使って提案する
自分の主観で物事を伝えるよりも客観的な視点から物事を提案することによって納得感や説得力が生まれます。事実をもとにコミュニケーションを行うことによって、意見や考えを受け入れてもらいやすくなるでしょう。
- 個人的な意見ではなく、数字や事実に基づいて話す
- 「〜という調査結果があります」など第三者の視点を引用する
- いくつかの選択肢を示して、最終判断は上司に任せる
協力者を見つける
感情的な上司に対して周囲の人がどのような付き合い方をしているか参考にするという点も非常に重要です。場合によっては相談に乗ってもらったり協力してもらうことも必要になります。
- 上司と仲の良い同僚からアドバイスをもらう
- 必要なら人事部や他の管理職に相談する
- 先輩や信頼できる人に対応のヒントを求める
自分自身が冷静さを保つためのヒント

相手への対応法だけでなく、自分自身が感情的にならないための方法も大切です。相手をコントロールするよりも自身の意識や行動をコントロールする方がはるかに簡単です。
自身の冷静さを保つためにも以下に紹介する習慣も非常に重要になってきます。
日常の自己ケア習慣
- しっかり眠る: 睡眠不足になると感情のコントロールが困難になってしまう
- 体を動かす: 適度な運動はストレス解消に効果的
- バランスよく食べる: 極端な空腹や糖分の取りすぎは気分の波を大きくしてしまう
- 心を落ち着かせる時間: 深呼吸や瞑想など、心を静める習慣を持つ
考え方を見直す方法
- 「絶対に〜すべき」「みんな〜」などの極端な考え方に注意する
- より柔軟な考え方に置き換えてみる
- 一つの視点だけでなく、いろんな角度から状況を見る習慣をつける
感情を振り返るノート
- 仕事で感情が揺れた出来事とその時の自分の反応を書き留める
- どんな時に感情的になりやすいかパターンを見つける
- 上手く対処できた方法を記録して次に活かす
感情的な上司によってメンタルや行動が制限されるのは非常にもったいないことです。こちらに紹介した取り組みを行うことによって自身の可能性を潰してしまわないように心がけていきましょう。
みんなが働きやすい職場づくり

個人の対応だけでなく、職場全体の雰囲気づくりも大切です。特にリーダーや管理職の立場にある人は、以下の取り組みを考えてみましょう。
職場全体の雰囲気が良くなることによってミュニケーションがより円滑になり、ネガティブな感情が職場全体に広まりにくくなります。
オープンに話せる環境をつくる
- 定期的な1対1の対話の時間を設ける
- 匿名で意見を出せる仕組みを作る
- 建設的な意見の伝え方についての勉強会を開く
感情との付き合い方を学ぶ機会
- 怒りの管理法についての研修を行う
- 人の気持ちを理解する力を高めるプログラムを提供
- ストレス対処法についての情報共有
多様な個性を尊重する文化
- 違うタイプのコミュニケーション方法を理解し受け入れる
- それぞれの得意分野を活かす役割分担をする
- チーム内でお互いを知るワークショップを実施する
まとめ
感情的な人との関わりは難しく感じることもありますが、適切な対応スキルを身につけることで、職場環境を改善し、自分自身の仕事への満足度も高めることができます。
最も重要なのは、相手を変えようとするのではなく、自分自身の対応を変えることに焦点を当てることです。自分の態度や反応を調整することで相手との関係性も自然と変化し、良好な関係性に近づけていくことができるでしょう。
今回ご紹介した実践テクニックをきっかけに、職場を自分自身にとって働きやすい環境に変化させるお手伝いできれば幸いです。